をするような文句を唱えながら、通りかかって、あっと面《かお》の色を変えました。
というのは、その社前の立木を汚《けが》して、一人の女が縊《くび》れていたからです。
鹿島の事触は、これを見ると立ちすくんで、大声をあげて人を呼びました。
そこで、忽《たちま》ち人が集まって、その縊《くび》れっ子を調べてみると、それはこの温泉駅では誰も知っている物売りのお六でありましたから、いっそう騒ぎが大きくなりました。
そこで、評判と臆測が、たちまち町中いっぱいにひろがりました。
あの愛嬌者が、どうしてこんなことをしでかしたのか。孫次郎の宿で聞いてみると、昨晩遅く目の色を変えて飛び出したのが変だとは思ったが、それはお万殿の時刻までにと、大あわてにあわてて、自分の家へ帰ったのであろうとばかり思っていたが、そういわれると思い当ることがないでもないといっています。
しかし、この女が、縊れて死なねばならぬ事情というのは、誰にも、どうしても思い当らない。竹細工師で情夫とも御亭主ともなっている、気のよい男をただしてみても、いっこうあたりがつかない。そこで、当然、魔がさしたのだ、その魔がさしたのは、いましめ
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