寺弥助は、投げ出したような返事。
「あれは、いったい、ほんとうに盲目《めくら》なのか」
 丸山が重ねてなじると、仏頂寺は、
「本物らしい」
「してみれば、君たち三人が、まとまって、ついに一人の盲人のために不覚を取ったという理窟になる――いや、理窟ならまだいいが、現実この通りの始末。剣術というものは、本来、それほど段のあるものか」
「ううん、それをいわれると面目《めんぼく》ないが……」
と仏頂寺弥助はうなり出して、じっと考え込んでいたが、
「術には、さほどの相違もあるまいが、出ようが悪かったのだ」
「出ようが悪い――それは向うのいうことだろう、向うは眼が見えないのだぜ」
「眼は見えないけれども、あれは心得たものじゃ、真剣の立合では神《しん》に入《い》っている、まさに驚くべきものじゃ」
「盲目で……」
「眼のあいた奴の仕事はたいてい見当がつくが、眼の見えない奴の構えは測ることができない。一時《いっとき》、おれは、あいつの構えを見て、ズウッと骨まで寒くなったよ。その瞬間だ、出てくれなければいいがと思っている三谷が出てしまった。出たのじゃない、引寄せられたのだ。そこで案の如く斬られてしまった。
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