う》と畳針を心配してくれ、それに麻糸と晒《さらし》」
といいつけるのを仏頂寺弥助がおっかぶせて、
「なければどこぞ近いところへ人を走らせて、焼酎と畳針と、それから麻糸に晒……この傷を縫い合わせるのだ」
とわめきました。
 そこで、顛倒《てんとう》して店のものが、また大騒ぎで、家中を探しにかかると、いいあんばいに、焼酎はかなり豊富に蓄えられてあるし、麻糸も人間を縫う程度には蔵《しま》われてあったし、少々、錆《さ》びてはいたけれども、相応の畳針まであったのを取揃えて差出すと、
「有難い、誂向《あつらえむ》きの品が全部そろっていた」
 丸山勇仙は、焼酎の壺を取り上げました。この男は医術の心がけがある。そこで、負傷者のために、救急療治として、その傷口をまず焼酎で洗い、次にこの畳針で縫い合せの手術にとりかかるのは心得たものです。仏頂寺弥助は、それに介添《かいぞえ》として働き、かなりの時間を費して、ともかくも、二人の傷を縫い了《おわ》って、体中を、晒ですっかり巻いてしまってから、
「仏頂寺、いったいこれはどうしたというものだ」
と丸山勇仙が、仏頂寺弥助にたずねると、
「おれにもわからない」
 仏頂
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