をして、
「盲蛇《めくらへび》、物に怖《お》じず」
といいました。
そこで高部は一層図に乗って、竜之助の肩をゆすぶり、
「一体、貴殿はどこの藩中だ、両刀を帯している以上は、多少、武術の心得はあるだろう、まして、この道中、盲目の分際で傍若無人の振舞、酒をのみ、女にたわむれ……」
といって、高部は自分ながら妙な面をして失笑したのは、よくある手で、この手合の因縁をつける時は、たいてい自分の不埒《ふらち》を先方へなすりつけて、天晴《あっぱ》れ先手を取ったつもりでいる。相変らずその手をまじめくさって使い出したけれども、自分ながら気がさしたと見えて、舌を吐きました。
後見役の仏頂寺はじめ三人は、やれやれと目面《めがお》でけしかける。高部もいよいよ得意とならざるを得ないのです。
「昨晩も、下諏訪の宿で、あたりはばからぬあの乱暴狼藉、同宿の我々がどのくらい迷惑致したか知れぬ。しかるにまたも悠々として女を伴い、これ見よがしの道中、武士の風上には置けない仕業《しわざ》……」
かさ[#「かさ」に傍点]にかかって苛《いじ》め立てようとするのに、相手がさのみこた[#「こた」に傍点]えない。
聞き捨てにし
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