の声に竜之助が聞き耳を立てました。
「うるさい奴等だ」
「何でしょう、あのおさむらい[#「さむらい」に傍点]たちは?」
 久助が心配する。そこで期せずして三人がひっかかりました。
「先生、かまわないで行きましょう、そうでなければ、あの一軒家へ隠れて、先へやってしまいましょう」
 最も多く心配するのはお雪です。
「おおい、お待ちなさい」
 ようやく近寄って来た四人の者。
「ちぇッ」
 竜之助は小癪《こしゃく》にさわる心持で、馬から下りてしまいました。
「先生、芸もないから相手になるのはおよしなさいまし、なんだか、たいそう気味の悪いさむらい[#「さむらい」に傍点]たちですから」
 久助も、お雪も、馬から下りた竜之助を見て、かえってそれに驚かされました。
「小うるさい奴等だ……久助どの、お前はお雪ちゃんを連れて、その一軒家とやらへ隠れておいで……馬も、駕籠も、近くへは寄らぬこと」
 馬から飛び下りて、右の手で野袴の裾をハタいて、それから笠の紐を取った竜之助の面《おもて》は例によって蒼白《あおじろ》い。いつも沈みきっている人も、時あっては小癪にさわる憤りを漂わせることがある。
「え、滅相《めっ
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