万殿の方が、よっぽど罪が浅いわ。それをむざむざ殺してしまうなんて……」
お雪は頼まれでもしたもののように、ムキになってお万殿に同情を寄せる。
竜之助は何ともいわず、横になったままで肱枕《ひじまくら》をしましたが、その冷やかな面《おもて》がズンズン底知れず沈んで行くようでもあり、また行燈《あんどん》の光に照りそうて、一際《ひときわ》の色をそえるようにも見えます。
「なんにしても、こんな晩には早寝にかぎります、先生もお休みなさいまし、お雪ちゃんもお休みなさいまし」
久助がいい出して、女中を呼び、前の晩のように竜之助はこちらの間に一人、お雪と久助はこちらの間へ隔てて床をのべてもらいました。そこで、竜之助は寝巻に着かえて、大小を引寄せて枕につこうとするのを、見ていたお雪が、
「先生、わたしは、いつもおか[#「おか」に傍点]しいと思いますよ、そうして、お休みになる時までも、刀を後生大切《ごしょうだいじ》にしていらっしゃるのが……」
「もし悪者が来て、これを盗まれでもしようものなら大変だ」
「だって、先生、盗む気で来れば、いつでも盗めるでしょう」
「どうして」
「どうしてって、失礼ですが先生
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