はお目が御不自由でしょう、ですから、盗むつもりなら、いつでも盗めるじゃありませんか」
「盗みに来れば斬ってしまう」
「それでも先生、ちょっと浚《さら》って逃げたらどうなさいます、追っかけることはできないでしょう。また、刀をお抜きになったところで、どこに悪者がいるかおわかりにならないでしょう。ですから、お抜きになっても、トテも斬ることはできやしないでしょう」
「そうも限るまい」
「それは先生が、お目さえ御不自由でなければ、悪者が来ても怖くはないでしょうけれど、肝腎《かんじん》のお目が悪いんですから、盗もうと思えば、わたしだって盗んで見せますわ」
「ははあ、雪ちゃん、お前にこの刀が盗めますか」
「眠っていらっしゃるところを、そうっ[#「そうっ」に傍点]と持ち出せば何のことはないじゃありませんか。それは譬《たと》えですけれども、どうでも盗めとおっしゃれば、今夜にも盗んでお目にかけますわ」
「それでは今夜、盗んでごらん」
「お約束はできませんけれど、もし、わたしが夜中に目がさめましたら、きっと盗んでお目にかけます」
「なるほど。それでは、下げ緒も向うへまわして、お前の盗みよいようにしておきまし
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