からなくなっちまった」
 宇治山田の米友は、両国橋の真ン中の欄干《てすり》の前に突ッ立って、
「何が何だか、おいらの頭じゃわかりきれなくなった。来世《らいせ》というのはいったいどこにあるんだ。ナニ、魂だけが来世へ行く? さあ誰がその魂を見た、その魂が来世とやらへ行って何をしているんだ。ナニ、この世で苦労したものが来世で楽をする? 誰がそれを見て来たんだ、魂が来世へ行って何を働いているか、見届けて来た人があるなら教えてくれ、後生《ごしょう》だから……今まで生きてたものが死んじまった、ただそれだけか。花は散りても春は咲く、鳥は古巣へ帰れども、往きて還らぬ死出の旅……今、それがひとごとじゃねえんだぞ、ほんとうに死んだ奴が一人あるんだぞ。ナニ、誰か殺したんだろうって? 冗談じゃねえや……ナニ、米友、お前が苛《いじ》め殺したんだろうって? ばかにするない。そうでなければ駒井能登守の奴が殺したんだろうって? 何をいってやがるんだい、何が何だかこの頭じゃわからねえや」
 宇治山田の米友は、狂気の如く同じところを飛び上っています。

         二十五

 栃木の大中寺に逼塞《ひっそく》の神尾主
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