る》し下さいまし、わたくしは疲れきってしまったから、もう馬に乗るのはいやでございます、どこぞへ暫く休ませて下さいまし」
弁信は、再び馬に乗せられるのを頻《しき》りにいやがるのに、多数の者は、
「もう少しだから、辛抱なさい、お前さんが御本尊だ、御本尊が馬の上にござらないと、踊る人が張合いがない、伝通院まで送って上げるから、ぜひとも辛抱なさい」
弁信をむりやりに馬の背へ掻き乗せようとする。それを弁信はしきりにいやがっているのです。あれほど疲れてもいるし、いやがりもするのを、なんだって多数《おおぜい》して担ぎ上げようとするのだか、それがいよいよわからないから、米友は人を掻きわけて、ずっと傍へ寄りました。米友が人を掻きわけて行くと、その傍にいた道庵も、こいつはまた変ってると思って、抜からぬ面《かお》をして米友にくっついて行きました。
「おいおい、お前は弁信さんじゃねえか」
こう言って米友が言葉をかけると、弁信が、
「はいはい、あなたはどなたでございましたか知ら」
「俺《おい》らは米友だよ、友造だよ」
「ああ、友さんでございましたか、その後は御無沙汰を致してしまいました、お前さんもお壮健《
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