間《すきま》もなく、やっと掻巻《かいまき》から抜け出したばかりのお銀様の腰を立て直す隙もあらせず、神尾が突っかけて来る槍は凄いばかりです。
「誰か来て下さい」
さすがにお銀様は女ですから、こうなってみると我知らず叫びを立てました。
この叫びはかえって神尾にとっては、よい目標を与えたようなもので、得たりと畳みかけて突っかけるのを、幸いに梅の木があったから、それを廻り込んでお銀様は、またしても暫しの息をつきました。
その梅の木の前から諸突《もろづ》きにしてみたけれども、それが外れたと見え、神尾は左からねらって突きました。それも手答えがなかったために、右から覘《ねら》って突いたけれども、お銀様の身には当りません。こうなると神尾は再び激昂を始めました。
お銀様と神尾とは、槎※[#「木+牙」、第4水準2−14−40]《さが》たる梅の大木を七たび廻って、追いつ追われつしています。
「誰か来て下さい」
ふたたびお銀様が叫びを立てた時分には、神尾とても、これが目的のお喋り坊主ではなく、日頃|苦手《にがて》のお銀様であったことに気がついたのでしょう。しかしながら、今となってはかえってそれが面白
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