し。それにしても、あの発狂者《きちがい》はどうなされた、ほんとうにお気の毒なのはあの方でございますが、これも前世の宿業《しゅくごう》の致すところでございましょう、お諦《あきら》め下さいまし。怪我をしたくもないし、おさせ申したくもないものでございます。女の方は、どうなさいました、逃げておしまいなさいましたかな、それとも真先に斬られておしまいなさいましたかな。それにつけても女というものは、罪の深いものでございますな、女一人ゆえに、どのくらい多くの人に間違いが出来るか知れたものではございません。でございますからお釈迦様も、女は怖ろしいものじゃと仰せられました、また女は救われないものじゃと仰せられました」
 こう言って、ようやく起き上って来ました。転んでもただは起きないで、喋りながら起きて来ました。序《ついで》に、地に落ちて消えた提灯を手さぐりにして拾って起き上りました。
「おやおや、それにしても、あんまり静かでございますね、お怪我をなすった方もずいぶんおありなさるはずなのに、この近所には、どなたもおいでになりません、皆さん歩いてお帰りになったのですか、たった今、あれほどの騒ぎがありましたとこ
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