うちに、その子供だけが母なる人の命を助けられんとして、号泣して飛び廻るけれど、誰あって、この子供の訴えを聞いてやるものはありません。誰に取付いても、みんな突き放してしまいます。突き放さないものは、なんと言って慰めてやっていいか、その言葉に苦しんで横を向いてしまいます。
「母ちゃんを殺しちゃいやよう」
七歳か八歳になるほどの女の子です。ついに竜之助の袂に縋《すが》りつきました。
「小父《おじ》さん、母ちゃんを助けて上げて下さい、刀を差している人は、弱い者を助けて上げてもいいでしょう、ね、小父さん」
女の子は竜之助の刀にとりついて、わあわあと泣きます。どこへ行っても突き放された子供は、もはや、その人をたよることなしに、手に触った腰の物を頼むものらしい。
「あれはお前の母親か」
竜之助はこう言って尋ねました。
「小父さん、あれは、あたしの母ちゃんです、みんなの人がああして苛《いじ》めます、あたしは、母ちゃんが何を悪いことをしたか知らないけれど、みんなして、ああして酷《ひど》い目に逢わせるんですもの、誰も、母ちゃんを助けてくれる人は一人もありません」
女の子が必死に縋りつくのを、竜之助
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