この上に、血気の連中が、男女二人の肉体に向って、有らん限りの侮辱を加えようとするものらしい。すでに加えているのかも知れない。男には堪えられる侮辱も、女には堪えられない。むしろ殺された方が遥かにまさる辱《はずかし》めのために、女が身を悶《もだ》えて泣いているのが、弁信にもよくわかります。
ともかくも殺すことは憚《はばか》りがあるから、彼等の制裁はそこまでは行くまいが、当人たちは、そうされるよりは、殺されることを心から訴えて号泣しています。
見物している者の中には女性もありました。見ていられないで面《かお》を蔽《おお》うて逃げ出す者もありました。しかしながら、そのために、たとえ一言でもとりなしを言おうとする者はありません。惨《さん》として一語もなく、そのなりゆきを気遣って泣くものさえありません。泣いて同情を現わすことが自分の弱味になることを怖れたのでしょう。
「あたいのお母ちゃんが殺されるよう」
誰も彼も惨として一語なきところに、咽喉《のど》も裂けるばかりに号泣してこの場へ駆けつけて来たのは、まだいたいけな子供です。
憐れむべきはその子供です。多くの人が鳴りをひそめて見物している
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