もてあました看護の連中とても、敢《あえ》て弁信を憐んで主膳の前を言いこしらえるのではないから、ついに主膳のむずかり[#「むずかり」に傍点]に我慢がしきれなくなって、
「どうだ、大将がすっかりかんづいているんだから、坊主を一つここへ引張って来ようじゃねえか。といって、土蔵はこっちの鬼門だから、あの中へ引取られた上は、おいそれとは渡してよこすまいが、なんとか口実をこしらえて引取って来ようじゃねえか、そうもしなけりゃとても、看病人がやりきれねえ」
ついに彼等は相談して土蔵へ、小坊主引取り方を交渉に出かけることになりました。福村が先に立って、御家人崩《ごけにんくず》れが都合三人で、その晩、土蔵の前までやって来たが、彼等にも、この土蔵の中が気味が悪い。美しい腰元のお化けが怖いのではなく、現にこの中に籠《こも》っている幾つかの怪物は、同じ屋敷中にあっても、彼等にとっては治外法権の怪物であります。
土蔵の前まで来るには来たが、彼等は急には訪れようとはしないで、まずこちらに立って中の様子をうかがっておりましたけれど、中には物音が一つするではありません。どちらも真暗で、土蔵の二階の金網の窓から、燈火
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