る小坊主だ、戸惑いをした売卜者《うらないしゃ》のようなよまいごとを喋るのが癇《かん》に触ってたまらん、あれをここへ連れて来て、眼の前で締め殺してくれ、こうして寝ていても、あいつの姿が目ざわりになり、あいつの言い草が耳ざわりになってたまらん」
 主膳は噛んで吐き出すように、こう言って罵《ののし》ります。
「大将、あの小坊主は井戸へ落っこってお陀仏ですぜ、死んでしまいましたぜ」
 福村が、言いくるめようとすると、主膳は承知しません。
「なあに、死んでしまうものか、あいつは生きて土蔵の中に助けられているのだ、誰か、あの小坊主をここへつれて来て、拙者の眼の前で締め殺してくれ、それでないと拙者の怪我は癒らん」
 福村は、当惑しながら、
「冗談じゃねえ、坊主は、疾《と》うに井戸の底に往生しているんだ、小坊主の死霊《しりょう》に悩まされるなんて、大将にも似合わねえ」
 それでも主膳は承知しません。どこまでも小坊主が助けられて、土蔵の中にいるものと思い込んで、彼をそこへ引いて来て締め殺せ、締め殺せと繰返すその有様は、あの小坊主の生命を眼の前で断たなければ、自分の命が危ないものと思い込んでいるようです。
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