す、もっとも浅草へ参りまするには、染井、伝中へ出ては損でございますから、その辺に、ずっと左へ切れる道がございましょうと存じます、それを尋ねておいであそばすがよろしうございます、多分、巣鴨の庚申塚《こうしんづか》というところあたりへ出る道があるだろうと存じますが、私共はごらんの通り眼が不自由なものでございますから……」
なるほど、どうも様子が訝《おか》しいと思ったら、盲人であったか、道理こそさいぜんから口だけ親切で、身体に気を許さないのがわかった。そこで兵馬はお喋り坊主に会釈《えしゃく》をしながら、その傍を通り抜けると、それと離るること三間ばかりのところに、天蓋をかかげて月を見ている人があります。
多分、月を観ているのだろうと兵馬は思いながら、その人の側を、ずっと摺り抜けて通りました。通り抜ける途端に、風を切って何物かが落ちて来ると覚えたから兵馬は、ひらりと身をかわしたけれども、口惜《くや》しいことに、かわしきれませんでした。右の肩を打たれようとしたのを、肩を開いたために、それが落ちて来て、刀の柄《つか》にのせていた手の甲を辷《すべ》って、右の小指を発止《はっし》と打砕きました。
「
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