ょうかね、宗門の方から申しますと、『骨肉同胞たりと雖も、山門に入るを許さず』という、卯《う》の毛《け》も入れない厳しいところに情けがあるんだそうでございます、また世間普通の人情から申しますと、楽翁公のなされたように融通をつけるのが道理だと申すものもございます。あなたはどちらがよいとお考えになりますか」
 兵馬が見ると、月を背にして歩んで来る二個《ふたつ》の人影があります。前のは背の低い網代笠《あじろがさ》をいただいた小坊主と覚しく、後ろのは天蓋《てんがい》をかぶって、着物は普通の俗体をしている男のようです。
 この二人がそこまで来た時に、お喋《しゃべ》り坊主が遽《にわ》かに突立ってしまいました。
「もし、そこにどなたかおいでになりますようですが、どなたでございます」
 こう言って見咎《みとが》めたのは無理もないと、兵馬も思いました。
 行き暮れて、こんなところに、ただ一人、物案じ顔に休んでいるのを、通りかかった者が見ればギョッとするのも無理はない。兵馬はそこで、とりあえず返事をしました、
「ごらんの通り、このあたりで少々道に迷いました」
「左様でございましたか」
 それでも小坊主は動い
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