とうげ》のお関所というのは、箱根のお関所と違って、それは山の上にあるのではなく、峠の麓にあるのであります。
 熊《くま》の平《だいら》で坂本見れば、女郎が化粧して客待ちる……というその坂本の宿よりはなお十町も東に当る横川に、いわゆる碓氷峠のお関所があるのであります。
 このお関所を預かるものは安中《あんなか》の板倉家で、貧乏板倉と呼ばれた藩中の侍も、この横川の関所を預かる時は、過分の潤《うるお》いがあったということです。それは参覲交代《さんきんこうたい》の大名の行列から来る余沢《よたく》の潤いであるとのことです。
 けれども、ここを通る参覲交代の大名のすべてを合せても、その余沢は、一加州侯のそれに及ぶものではないとのことであります。
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後共《あとども》は霞引きけり加賀守
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という百万石の大名行列は、年に二回は行われる。その年に二回の加賀様の行列によって、一年の活計を支えるほどの実入《みい》りを得ている者が、幾人あるか知れないということであります。
 それは大抵、五月と九月との両度に行われ、同勢は約千人もあったろうということで、金沢の城中から
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