、鉄砲百挺、弓百挺、槍百筋を押立てて、ここまで練って来た一行が、鉄砲だけは関所を通すことが許されないから、坂本の宿の陣屋に鉄砲倉を立て、そこに預けておき、帰る時は、それを持ち出して国へ帰るということになっているのだそうです。関所でやかましいのは、鉄砲と、そうして女であることはここも他と変ることはなく、徳川幕府にとって頭痛の種であったこの二つの禁物のうちの一つは、そうして封じ込められて、関所を東へは一寸も動くことを許されないでいるが、東から来て西へ抜けようとする女は、まさか倉を立てて蔵《しま》っておくわけにもゆかない代り、かなり厳しい詮議《せんぎ》の下に、辛《かろ》うじて通過を許されるのであります。それは、たとえ百万石の奥方といえども、関所同心の細君の手によって、一応その乳房をさぐられ、それから髪の毛の中を探された上で、はじめて通行の自由を認められる……それが本来の規則であったそうだけれども、そこにも当然抜け道はあって、表面だけの繕いで無事に通行ができるようになり、それらの余徳として、関所役人の懐ろの潤《うるお》いが増してくるようになったとは、さもありそうなことであります。
その加州侯
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