ているものらしい。ほどなく二人の辻番と、宇治山田の米友と、盲法師の弁信と、お蝶との五人が、路上に横たわった一つの屍骸《しがい》を取巻いて、弁信を除いての四人の眼は、いずれも火のようになって、提灯をその屍骸につきつけているのであります。
「女だ!」
米友が叫びました。
「若い女だ、あだっぽい女だ」
提灯を突きつけている辻番が驚く。
「まあ、かわいそうに」
お蝶は、さすがに眼をそむけてしまいます。
「斬疵《きりきず》ではない、突いて抉《えぐ》ったものじゃ、みずおち[#「みずおち」に傍点]あたりにただ一箇所」
「左様、ほかには疵らしいものはないようだ、確かに突いて抉ったものだが、刃物は槍か、刀か」
「無論、槍傷ではない刀傷だ、してみると試し斬りではなく、遺恨だろう」
「左様、恋の恨みでこうなったものらしい」
「して、女の素性《すじょう》はいったい何者だ」
「左様、しかるべき町家の娘だな。おい姉さん、お前さん、ちょっとこの着物を見てくれないか」
辻番は提灯を振向けて、眼をそむけて戦《おのの》いているお蝶を呼びました。
「ちょっと見てくれ、着物の縞柄《しまがら》を、ちょっと見てもらいたい
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