でございますか」
「そんなに四角張らなくってもいいじゃありませんか、遊んでいらっしゃいな」
「エ、私に遊んで行けと言うんでございますか、あなた様のお宅はドチラでございますか」
「何を言ってるんです、こちらへいらっしゃいよ」
「あの、琵琶を御所望でございましょうな」
「琵琶? そんなものは知りませんよ、そんなことはどうだっていいじゃありませんか」
「いいえ、よくはございません、わたくしは琵琶弾きなんでございますよ、眼が不自由なもんでございますからね、それで、琵琶を弾いて、人様からお恵みを受けているような身の上でございます、琵琶も私のは平家でございますから、薩摩や荒神《こうじん》のように陽気には参りませんでございます、それに、私も未熟者でございましてね、あんまり上手とは申し上げられないんでございますから、芸人を呼ぶと思召《おぼしめ》さずに、哀れな盲《めくら》を助けると思召してお聞き下さいまし、そうでないと、お腹も立ちましょうと思います」
弁信はこう言って、あらかじめ申しわけをすると、柳の蔭にいた女は笑いこけるように、
「滅多にこんな正直なお方にはぶっつからないのよ。お前さん、もうお帰りの
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