らないじゃありませんか、まだ乗るか反《そ》るか、打ってみなけりゃわからないじゃありませんか」
 お角は外《そ》らしてしまおうとすると、神尾はそれを取って抑えて、
「その手は食わん、金箱というのは、茂太《もた》とやら茂太《しげた》とやらいう小倅《こせがれ》のことではない、そのほかに確かに見届けたものがあるのじゃ。若い綺麗《きれい》な、金のたくさんある男と、お前が仲睦まじく飲んでいたとやら、それをちゃあーんと見届けた者が我々の仲間にある。お角、あんまり凄い腕を振い過ぎると、祟《たた》りが怖かろうぜ、がんりき[#「がんりき」に傍点]の百とやらもだまっちゃいなかろうぜ」
「エ!」
 神尾からこう言われて、さすがのお角もギョッとしたようです。
「それは違います、それは違います」
 お角は、あわててそれを打消すと、神尾が意地悪く、
「福、お角は違うと言ってるが、お前はどう思う」
「違いませんな」
 福兄は得たりと引取って、空嘯《そらうそぶ》く。
「では、福兄さん、お前さん、何をごらんなすったの」
「さあ、拙者が、じか[#「じか」に傍点]に見たというわけじゃねえのだが、両国の、とある船宿の二階で、さ
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