んすけれど、わたくしのこのごろお見受け申すあなた様は、前のあなた様とは別のお方のようでございます、それが悲しうございます」
「ナニ、拙者《わし》が以前とは別な人のようになった……ははあ、そなたの眼に左様に見えますか」
「ええ、ええ、失礼ながら、これまでのあなた様は、どんな艱難にお逢いになっても、お心の底には強いところが確乎《しっかり》としておいでになりましたけれど、このごろは、それがゆらゆらと動いておいであそばすようにばかり、わたくしの眼には見えてなりませんのでございます、お出ましになる時も、帰っておいでになる時も、あなた様のお面にも、お心持にも、おやつれが見えるばかりで、昔のような落着きというものが、一日一日になくなっておいでなさるように見えますのが、わたくしには悲しくてなりませぬ」
と言ってお松は、涙をこぼしました。

 その晩はお松は、こし方《かた》や行く末のことを考えて、いまさら、人の心の頼みないことを、しみじみと思いわびて眠れませんでした。
 懐ろへ入れて来たあの女文字の手紙を取り出して読み返してみると、舌たるいような言葉で、ぜひぜひ今宵のおいでをお待ち申し上げますというよう
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