っと小いきな男で、片腕が一本無えんだ……身なりは、これこれ」
 老爺《おやじ》は慌《あわ》ててそれを引取って、
「ええ、ええ、間違いございません、確かにおいでになりました、たった今でございます、小一時《こいっとき》ほど前のことでございます、ここで甘酒を召上りになって、角兵衛獅子に散財をしておやりなすった親分がそれなんでございます、その通りのお方でございました」
「そうだろう、そうなくっちゃならねえのだ……先生、そいつはがんりき[#「がんりき」に傍点]の奴の道具でございます、あいつ、何かに狼狽《あわて》たと見えて、ここへこんなボロを出して行ったのが運の尽きですな」
「なるほど、そうしてみるとよい獲物《えもの》だ」
「爺さん、それからどうしたい。その片腕の男は、角兵衛に散財をして、それからどっちの方へ出て行きました」
「エエ、なんでございます、多分、お山を御見物でございましょう。お帰りにお寄りになるとおっしゃったから、金洞山《こんどうざん》から中《なか》の岳《たけ》の方をめぐって、そのうちには、また私共へお戻りになるでございましょうと思います」
「そうしてその男は、一人っきりだったかね、そ
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