また屏風の中へ隠れてしまいました。
 米友は炉の傍で、大きな鉄瓶の中へ栗を入れて煮ています。栗を煮ながら眼をクリクリさせて黙然《もくねん》と考え込んでいると、
「友吉どの」
と言って屏風の中から、竜之助の声でありましたから、
「何だい」
「お前はたった今、この刀の中身を抜いて見たか」
「抜いて見やしねえ、抜いて見ようとしたところだ」
「それならばよいけれども、この後もあることだから、気をつけて刀には触らぬようにしてくれ、頼む」
「そりゃいけねえ、この狭いところでお前と二人っきりの暮しだ、いつどういうハズミで刀に触らねえとも限らねえや」
「それを言うのではない、今のように刀を抜いて見ようとしては困る」
「抜いて見たからっていいじゃねえか、お前と俺らの仲だもの」
「そうじゃない、刀は切れるものだから、お前に怪我をさせては悪い、それでワザワザ頼むのじゃ」
「御冗談でしょう、こう見えても子供じゃございませんぜ、子供がおもちゃのサーベルをいじるのとは違うんだぜ」
「だから頼むのだ、玩具《おもちゃ》のサーベルならば、怪我をしても知れたものだけれど、刀によっては、血を見なければ納まらぬ刀があるからな
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