ではありますまい。
 また、水天宮様ばかりを讃《ほ》めて、米友に一言の挨拶をもしなかったその子の親たちをはじめ近所の人々とても、決して米友を軽蔑してそうしたわけではなく、驚きと喜びに取逆上《とりのぼせ》て、ついそうなってしまったのであることは疑いもないのであります。
 あれもこれもばかばかしくって、さすがの米友も腹を立つにも立てられず、喧嘩をしようにも相手がなく、着物を引っかけて帯を結ぶと、杖を拾ってこの井戸側をさっさと立去ってしまいました。
 米友が立去った時分になって、井戸に落っこちた子供の親たちやその近所の者が、またゾロゾロと井戸側へ取って返しました。
 それはようやくのことに米友の恩を思い出して、それにお礼を言わなければならないことを、見ていた多くの子供たちから教えられたから、取って返したのです。しかし、それらの人たちが引返して来た時分には、肝腎の米友はもう井戸の側にはおりませんでした。その附近にもそれらしい人の影は見えませんでした。
 そこで今度はそれらの人が、あいた口が塞がらないのであります。実に申しわけがないと言って、盛んに愚痴を言ったり、子供らを叱ったりしていましたが、
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