くまで高く吊《つる》し上げて、釣瓶《つるべ》を車へしっかりと噛ませておいて、その縄を伝って垂直線に井戸の底へ下って行きました。
こうして分けて書くと、その間に多少の時間があるようだけれど、その瞬間の米友の挙動は驚くべき敏捷なものでありました。首根ッ子へ結いつけていた風呂敷をかなぐり捨てた時は、井戸端を覗《のぞ》いた時、井戸端を覗いた時は、棒縞の仕立下ろしの着物を脱ぎ捨てて裸一貫になっていた時、裸一貫になっていた時は、釣縄を高く吊し上げた時、縄を高く吊し上げた時は、早や縦一文字に井戸の底へ下って行った時で、ほとんど目にも留まらない早業でありました。
近所の親たちが青くなって井戸側へ駆けつけ、それ梯子《はしご》よ縄よ、誰が下りろ、彼が下りろと騒いでいる時に、井戸の底から米友が大きな声で呼びました。
「大丈夫だ、子供は生きてる、生きてる、心配しずにその縄を手繰《たぐ》ってくれ」
この声で初めて、誰とも知らず助けに下りている者があるということがわかりました。これで近所の親方もおかみさんも総出で、エンヤラヤと井戸縄を手繰《たぐ》り上げると、芝居のセリ出しのように現われて来たのは、五ツばかり
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