んなさい、早く来てごらんなさいよ」
「どうしたの、お鶴さん」
「あれ、あそこをごらんなさい」
「まあ」
「ありゃ人間でしょうか、猿でしょうか」
「そりゃ人間さ」
「あの面《かお》をごらんなさい」
「おお怖《こわ》い」
「でも、どこかに可愛いところもあるじゃありませんか」
「子供でしょうかね」
「なんだかお爺さんみたようなところもあるのね」
「あれはお前さん、こっちをじっと見ているよ、睨めてるんじゃないか」
「怖いね」
「怖かないよ、子供だよ」
小間使が二人寄り三人寄り、ほかの女中雇人まで追々集まって、米友の面を指していろいろの噂《うわさ》をしているのが米友の耳に入りました。
「やい、そこで何か言っているのは、俺《おい》らのことを言ってるのか」
米友はキビキビした声で叫びました。
「それごらん、おお怖い」
米友に一喝《いっかつ》された女中たちは、怖気《おぞげ》をふるって雨戸を締めきってしまいました。それがために米友も、張合いが抜けて喧嘩にもならずにしまったのは幸いでありました。
やや暫らくして櫓の上から下りて来た米友を、道庵は声高く呼びましたから、米友が行って見ると、道庵は例の通
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