ら委細のことを聞いて、はじめてなるほどと思い、いまさら恨めしげにその手錠をながめていました。
 ここにまた、道庵先生の手錠について不利益なことが一つありました。手錠といったところで、大抵の場合においては、ソッと附届けをしてユルイ手錠をはめてもらって、家へ帰れば、自由に抜き差しのできるようになっているのが通例でありました。遊びに出たい時は、手錠を抜いておいて自由に遊びに出ることができ、お呼出しとか、お手先が尋ねて来たとかいう時に、手錠をはめて見せればよかったものを、先生は酔っていたために、ついその手続をすることがなく、役所でもまた何のいたずらか先生の手に、あたりまえの固い手錠をはめて帰したから、極めて融通の利かないものになっていました。
 そこへ五人組の者が訪ねて来て驚きました。例によってお役人にソッと頼んで、緩《ゆる》い手錠に取替えてもらうように運動をしようとすると、本人の道庵先生が頑《がん》として頭を振って、
「俺ゃ、そんなことは大嫌いだ、そんなおべっか[#「おべっか」に傍点]は、おれの性《しょう》に合わねえ、これで構わねえからほうっておいてくれ」
と主張します。そんなことを言って正
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