者らしい身なりの者などもありました。けれど老女は来る者を拒《こば》むことなく、ことごとく自分の子供であるかの如く、その広い家を開放して彼等の出入りの自由に任せ、その窮した者には小遣銭《こづかいせん》までも与えてやっているようです。
食客連は、また己《おの》れが屋敷に帰ったような気取りで、或いは黙々として勘考をしているものもあれば、或いは寄り集まって、腕を扼《やく》しながら当世のことを論じて夜を明かすものもありました。
老女にとっては、それが大機嫌であるらしく、食客連の間で議論が決しない時は、老女のところへ持って出て、裁判を請うようなこともありました。
こんなに多くの食客を絶えず世話している老女の手許には、別に幾人かの女中や下働きが置いてありました。しかし、その男女間の別はかなり厳しいもので、食客連の放言高談には寛大である老女も、それと女中部屋との交渉は鉄《くろがね》の関を置いて、何人《なんぴと》をも一歩もこの境を犯すことのないようにしてあることでもわかります。
この老女が何者であろうということが、ようやく近所から町内の評判になる前に、その筋の注意を惹《ひ》かないわけにはゆきませ
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