ねえ」
「だって、そんなところで押えていては」
「用があるからだ」
「何の用なの」
「君ちゃん、いまお前は、ここの梅の枝を一枝折ったね、その枝を俺《おい》らにおくれ」
「これかい、この梅の枝を友さん、お前が欲しいのかい」
「うむ」
「そうして、どうするの」
「どうしたっていいじゃねえか、欲しいから欲しいんだ」
「欲しければお前、こんな花なんか、わたしに強請《ねだ》らなくても、いくらもお前の手で取ればいいじゃないか」
「そんなことを言わずに、それを俺らにおくれ」
「これはいけないよ」
「どうして」
「これは殿様に上げるんだから」
「殿様に?」
と言って米友は強い目つきでお君を見ました。
「これは、わたしから殿様へ差上げる花なんだから、友さん、お前ほしいなら別に好きなのを取ったらいいだろう、ほら、まだ、あっちにもこっちにもいくらも咲いているじゃないか」
お君はチラホラと咲いている梅の木の花や蕾《つぼみ》を、米友に向って指し示すのを、米友は見向きもせずに、お君の面《おもて》をじっと見つめていましたが、
「要《い》らねえやい」
「おや、友さん、怒ったの」
「ばかにしてやがら」
米友は、その
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