いる物音が、手にとるように聞えます。
 やがて兵馬は、お松のために返事の手紙を書いてしまって、疲れを休めていると、また窓の下で雪掃きをしているらしい人の声です。その声を聞くともなしに聞いていると、
「俺《おい》らは一体《いってい》、雪というやつはあまり好かねえんだ、降る時は威勢がいいけれど、あとのザマと言ったらねえからな」
 雪を掃除している人が口小言を言っているらしい。突慳貪《つっけんどん》に言っているけれど無邪気に聞えて、おのずからおかしい感じがします。
「道はヌカるし、固めておけばジクジク流れ出すし、泥と一緒に混合《ごっちゃ》になって、白粉《おしろい》が剥《は》げて、痘痕面《あばたづら》を露出《むきだ》したようなこのザマといったら」
 雪を目の敵《かたき》にして、頭ごなしにしているようです。しかしながら聞いていると、なんとなく前に聞いたことのあるような声でありました。誰であって、いつ会った人だか、ちょっと見当がつかないけれども、確かに兵馬の耳に一度は聞いたことのある声だと思わせられました。ふと、お松の手紙にある友さんというのはこの人のことではないかと、兵馬はそんなことを想像しまし
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