神尾主膳の許《もと》にまでいて、御身の上を案じているということが、短いながらも要領を得て、まごころを籠《こ》めて書いて、それから、ぜひ一度お目にかかりたいが、どうしたらお目にかかれるだろうとの意味で、そのお返事をこのお薬の竹筒に入れて、友さんの手によって返していただきたいということであります。
 兵馬には、いちいちそれが了解されました。お松の心持が充分にわかって、有難いとも思い、嬉しいとも思いましたが、ただ何人《なんぴと》の手によって、この薬と手紙とがここに持ち来《きた》されたかということは、大きなる疑問です。
「友さんの手によって」とあるけれども、その友さんの何者であるかを兵馬は知ることができません。したがって、その友さんなる者に頼むこともできません。そのうち、お君が見舞にでも来た時に聞いてみようと思いました。
 ともかくも、これに対する返事を認《したた》めておこうと兵馬は、傍《かたえ》の料紙硯《りょうしすずり》を引寄せましたけれど、少し疲れているためと、頭を休ませる必要から、また仰向けになって眼を閉じていました。
 昨日までの雪は晴れて、外は大へんに明るい。窓の下の庭では雪を掃いて
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