たいことというのは、あの、お前さん、ここのお屋敷にお客様がおありでしょうね」
「お客様?」
「え、え」
「そりゃ、これだけのお屋敷だからお客様もあるだろうさ」
「いいえ、そのお客様というのはね、人に知れては悪いお客様なのよ」
「はははは」
 米友は苦笑《にがわら》いして、
「人に知れて悪いお客様なら、俺《おい》らにも知れようはずがなし、お嬢さん、お前にだって知れるはずがなかろうじゃねえか」
「それでも、わたしにはよく知れているのよ」
「知れてるなら、俺らに聞かなくってもいいじゃねえか」
「米友さん、お前さんは相変らず理窟を言うからいけません」
「だって」
「そのお客様はお前……牢から出た人なのよ」
 お松が四辺《あたり》に気を置いて小声で言うと、
「エ、エ?」
 米友が、やや狼狽《うろた》えました。
「そのお客様が……」
「知らねえ、俺《おい》らは知らねえ」
 米友は首を左右に振りました。
「知らないたってお前、わたしにはよくわかっているのだから、隠しても仕方がないのよ、牢から出たお客様が三人ほど、たしかにこのお屋敷に隠れているはず」
「エ、エ?」
 米友はお松の面《かお》をじっと見ま
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