ゃ構わねえ、俺らの部屋でよければ、お寄んなさるがいい。ううん、誰にも見られやしねえ。見られたところで、なにも痛いことも痒《かゆ》いこともあるめえじゃねえか」
「おかしな米友さんだこと、それは痛くも痒くもないけれど、少し都合があって誰にも見られたくないのだから、そのつもりで」
「いいとも、早く中へ入っちまいな、ここを閉めるから」
お松はそのまま潜《くぐ》り戸《ど》をくぐって庭の中へ入りました。米友はそのあとを閉して錠を下ろしてしまいます。
「米友さん、わたしはどうしようかと思ったけれど、お前さんが、蓑を着て鉄砲を担いで裏門を入って行く姿を見たものだから、こんな仕合せなことはないと思って、どうかしてお前さんが、もう一ぺん出て来るのを待っていようと、さっきからこの通りを二度も三度も歩いているうちに、この犬がお屋敷から出て来たものだから、ほんとにいい塩梅《あんばい》でした」
米友は、お松を己《おの》れの部屋へ案内して、炉の火を焚きました。
「米友さん」
改まってお松は、米友の名を呼びます。
「何だ」
米友は眼を円《つぶら》にしました。
「わたしが、お前さんに聞きたいことと、それから頼み
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