た。けれども、それよりも不思議なのは、竜之助とお銀様とが、どちらもそれとは知らずして送り込まれた家が、お浜の生れた家であるということであります。竜之助は曾《かつ》てその悪縁のためにお浜を手にかけて殺しました。その人の家へ、別の悪縁につながる女と共に来るということは、それは戦慄すべきほどの不思議であります。
二人をここへ送ってよこしたのは神尾主膳の計らいであります。机竜之助は主膳の手では殺せない人でありました。また殺す必要もない人であります。お銀様は主膳の手でどうかしなければならない女であります。生かしておいては自分の身の危ない女であります。しかしながら、神尾主膳は、机竜之助を殺す必要のない如く、お銀様を亡き者として自分の罪悪を隠さねばならぬ必要がなくなりました。なんとならば、それはお銀様が机竜之助を愛しはじめたからであります。机竜之助はまた、お銀様の愛情にようやく満ち足りることができたらしいからであります。
お銀様の竜之助を愛することは火のようでありました。火に油を加えたような愛し方でありました。眼の見えない机竜之助は、お銀様を単に女として見ることができました。女性の表面の第一の誇
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