示すのであります。

 それで侍たちは合点《がてん》がいったものの、群集はそんなことはわからないで、屋根の上の裸虫のところへ、新たに旅人体の笠に合羽の男が一枚駈けつけるから、それは敵か味方かと片唾《かたず》を飲んでいるまもなく、大屋根まで駈けつけた右の男は、いきなり群がる裸虫を片端から突き落しはじめました。
「それそれ、面白いぞ、手んぼう[#「手んぼう」に傍点]の方へ加勢が出た」
 その加勢は幸いに無勢《ぶぜい》の方へ出たのだから、見物を嬉しがらせました。一人でさえ、かなりの振舞をしているところへ、また一人、同じように身の軽いのが飛び出したから、見物は大喜びでありました。
 しかし、二人になってみると、もう大向うを喜ばせるような派手《はで》な芸がしていられなくなったものか、無茶苦茶に裸虫を突き落すように見せて、不意に屋根のうしろへ隠れてしまいました。
「それ飛んだ飛んだ、屋根から飛び下りたぞ」
という声が桟敷の裏の方から起りました。なるほど、表から見て屋根のうしろへ隠れたと見た時は、二人は相ついで高いところから僅かの地面へ軽く飛び下りてしまっています。
「そうれ、逃がすな」
 裸虫ども
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