の裸虫は、おたがいにとって勝手でもあり不勝手でもありました。捉《つか》まえどころのないことは、敵にとって利益であれば、味方にとっても同じく利益であるように、味方にとって不利益な時は、敵にとっても不利益であります。
 ことに、片腕の無いがんりき[#「がんりき」に傍点]の百は、片腕が無いだけ、それだけ捉まえどころが少ないわけであります。がんりき[#「がんりき」に傍点]の立場から言えば、取組ませては万事休するのですから、その敏捷な身体のこなしと、自由自在な一本の腕を以て、敵に組ませないうちに突き落してしまうに限るのであって、がんりき[#「がんりき」に傍点]はよくその策戦に成功しました。
 青地錦に包んだ長い物だけは、抜く暇がなかったか抜かない方が勝手であったのか、がんりき[#「がんりき」に傍点]の百は、その紐を口に啣《くわ》えたままで、それを以て自分を守ろうとしないで、身を以てその袋を守ろうとするもののように見えます。
 寄せて来た裸虫も、がんりき[#「がんりき」に傍点]を取って押える目的と、一つにはその青地錦を引奪《ひったく》ろうとする目的と二つがあるように見えました。その二つはいずれも成
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