功しないで、大の裸虫が、ズドンバタンと高いところから突き落されたり、尻餅を搗《つ》いてそのままウォーターシュートをするように下へ辷《すべ》り落ちてギャッと言うものもありました。
 もどかしがってこの屋根の上の組んずほぐれつの活劇を見ていた神尾主膳の許へ、小森蓮蔵が弓矢を携えてやって来ました。
 小森は流鏑馬の時の姿ではなく、羽織は着ないで袴だけつけて、やはり白重籐《しろしげとう》の弓に中黒の矢二筋を添えてやって来ました。
 小森を迎えに行った侍がそのあとから、二十四差した箙《えびら》を持ってついて来ました。
「小森殿、早う」
と神尾主膳が招きました。
「何事でござる」
「小森殿、大儀ながら、あの悪者を仕留めてもらいたい」
 神尾に言われて、屋根の上の騒ぎを見ていた小森の眼には、やや迷惑の色がかかりました。
「いったい、あれは何事でござる」
「あの中での悪者は、あれあの袋に包んだ太刀を持っているその片腕の無い奴がそれじゃ、察するにあの太刀を奪い取って逃げようとするのを、大勢に追いつめられて、逃げ場を失ったものと見ゆる。しかし、片腕ながら、大勢を相手にひるまぬところは面憎《つらにく》き奴、
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