の侍を迎えて進んで、近いところへ来て跪《ひざまず》きました。立烏帽子の侍もまた膝を折って、
「早や流鏑馬《やぶさめ》を始め候え」
というと、十六人が同時に、
「承りて候」
と言って一斉にその場をさがって、おのおの引かせた馬に跨《またが》ります。
 その時に、四十八人の的持はてわけをして北の方の的場へ颯《さっ》と退《ひ》きました。そこへ的を立てて、その下に衣紋《えもん》を繕《つくろ》うて坐ると、弓持は北の方の隅の幕へ弓を立てかけました。
 射手《いて》は順によって馬を進ませ、八幡社の方に一礼する。再び元へ戻って轡《くつわ》を並べる。西の方で白扇を飜して合図があると、東の方で紅の扇をかざしてこれに応《こた》える。用意がすでに整うと、第一番の射手が馬を乗り出しました。三たび馬を回《めぐ》らした後、日の丸の扇を開いて、笠の端を三度繕い、馬を驀然《まっしぐら》に騎《の》り出しながら、その開いた扇を中天に抛《なげう》つ。これは古式の通り捨鞭《すてむち》の扇であります。
 策《むち》を揚げて馬を乗り飛ばし、矢声をかけて、弓を引き絞って放つと過《あやま》たず、一の的、二の的、三の的を見事に砕いて、満場
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