肉と陰険と、そのほかに、これらの人物によく現われる、得意と侮蔑《ぶべつ》とを裏合せにしたような笑い方であります。
そのうちに太田筑前守の老夫人が、また前の日のように多くの女中を連れて、婦人席の第一の桟敷へ来ました。
第一の桟敷、第二の桟敷というけれども、それは長い一棟で、金屏風を以て仕切られてあるのみです。
老夫人の一座が、そこへ席を占めて後に、その召しつれた人々によって囁《ささや》かれたのは、第二番の桟敷の客のことでありました。
それらの婦人たちが、姦《かしま》しく物を言い、或いはワザとらしく囁くのが、金屏風で隔てられた次の桟敷へはよく響くのであります。駒井と言い、能登守と言い、それから指を出したり手真似をしたりする模様まで、手にとるようにわかるのであります。
第二の桟敷に来て噂の種となっている美しい姿は、それは、お君の方《かた》であったことは言うまでもないのであります。
お君の方はこの日、老若四人の婦人たちを連れて――というよりはその婦人たちにせがまれて、この席へ見物に見えたものであります。
お君はここへ見物に出ることをいやがりました。人中へ出るのが嫌いだと言って断わ
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