、がんりき[#「がんりき」に傍点]ときては、何をいたずらをやり出すのだか知れたものではありません。
二人がこの小高いところから下りて、人混みの中へ紛れ込んだのは、それから幾らも経たない後のことであります。
その日の競馬はそんなような景気でありました。その翌日の競馬はそれに弥増《いやま》した景気でありました。
両日共に日は暮れるまで勝負が争われ、勝った者は馬も乗り手も揚々として村方へ帰り、負けた者は後日を期した意気込みを失いません。かくて第三日となりました。今日は最終の日で、そうして晴れの流鏑馬のある日でありました。それが士分の者によって行われようという日であります。
この日になって、雛壇の桟敷《さじき》の二番目へ、前二日の日には曾《かつ》て見かけなかった美しい女房が、老女と若い侍女をつれて姿を見せたことは、早くも初日以来の見物の眼に留まらないわけにゆきません。これを見つけた者は、早くもその噂をはじめました。
「あれだ、あれだ、あれがソレあれだよ」
この二日の日において、支配の太田筑前守の老女を初め、重立った人の奥方や女房や女中たちの面も大抵わかったし、その品評もほぼ定まったけ
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