もなく、この甲府へ入り込もうとするらしい。どのみちこの二人が当て込んで来るからには、ロクな目的があるわけではなかろうけれど、ドチラにしてもこの面《かお》で、甲府へ真昼間《まっぴるま》乗り込もうとするのは、あまり図々しさが烈しいと言わなければならぬ。けれども二人としては、この機会に何かしてみなければ気が済まないのでありましょう。
ただこの機会に何かしてみたいという盗人根性《ぬすっとこんじょう》が、二人をじっとさせておかないのみならず、まだこの甲府に何か仕事の仕残しがあればこそ、この機会を利用してその片《かた》をつけてしまうために、協同して乗り込んで来たものと見れば見られないこともないのです。
だから、二人がこうして小高いところから、夥《おびただ》しい人出を見下ろしている眼つき面つきにも、いつもよりはずっと緊張した色があって、乗るか反《そ》るかの意気込みも見えないではありません。
二人が仕残した仕事といったところで、七兵衛は兵馬の消息を知りたいこと、それとお松とを取り出して安全の地に置きたいこと、その上で本望を遂げさせてやりたいこと、それら多少の善意を持った物好きがあるのだろうけれど
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