日の騎射、駒牽《こまひき》、左近衛《さこんえ》、右近衛《うこんえ》の荒手結、真手結、帯刀騎射《たてわききしゃ》というような儀式、武家では流鏑馬に犬追物《いぬおうもの》、笠掛《かさがけ》、みな馬上の弓でござる。このたび当所にて催さるる流鏑馬はいずれの古式にのっとられるか知らねど、多分は小笠原の流儀によることならんと存ぜらるる。ともかく、明日にも馬場を拝借して一責め致してみたいと存じ申す。その節、実地につき拙者の心得申したるところをいささかながら御参考のためにお話し申し上げたい、また拙者の流儀が他流と異なるところをも多少なりと御覧に入れたい」
こう言って諄々《じゅんじゅん》と語るところを見れば、必ずや相当の自信がないものではないと思わせられるのであります。
主膳はこの人を招くことにおいて非常な苦心をしました。人を遣《つか》わして信州から、わざわざ招かせたものでありました。それは無論、流鏑馬の当日に手柄を現わし、己《おの》れが面《かお》を立てると共に、駒井能登守に鼻をあかさせたい心からでありました。表向きは自分の家中ということにしておくけれど、このことが済めば多分の礼を与えて送り帰すとい
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