うございますとも、抵当にお預かり致したものでございますから……」
「知っての通り、今、その方に支払うべき持合せがない、明日までには都合致すが、その一振は家の宝じゃ、そちに抵当に遣わすと言ったのも一時の座興、手放せぬ品じゃ、置いて行ってもらいたい」
「これは恐れ入りました、その手で、いままで殿様にはずいぶん御奉公を致しておりまする、今晩もまた一時の座興なんぞとおっしゃられてしまっては、友達の野郎に対しても、がんりき[#「がんりき」に傍点]の面《かお》が立ちません、殿様の御都合のよろしい時まで、この刀は確かにお預かり申し上げました」
 片手で青地錦に入れた一振を取っておしいただき、
「皆様、御免下さりませ」
 お辞儀をして、さっさと立ってしまいました。
 神尾主膳はじめ一座の者は、険《けわ》しい眼をしてその後ろ影を見送るばかりで、さすがに身分柄、手荒いことも出来ません。
 がんりき[#「がんりき」に傍点]の百は神尾の屋敷を出た時に、青地錦の袋に入れた刀を背負っていました。
 上弦の月が中空にかかっているのを後ろにして、スタスタと歩き出すと、
「もし百さん」
と言って塀の蔭から出たのは、女の
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