貴様と太刀打ちをしてみたい、見《み》ん事《ごと》仇を取って見せる」
「駄目でございますよ、新手を入れ替えたところで、返り討ちにきまっておいでなさいますから、今宵のところはこの辺でお思い切りが肝腎でございますよ」
「どうしても融通ができぬか」
「冗談じゃございません、このうえ融通して上げたんじゃ、勝負事の冥利《みょうり》に尽きてしまいますからな」
「けれども貴様、それじゃ勝ち過ぎる」
 がんりき[#「がんりき」に傍点]が縦横無尽に場を荒すのを神尾主膳も忌々《いまいま》しがっていたが、一座の連中もみんな忌々しがっていました。主膳は堪り兼ねて、
「がんりき[#「がんりき」に傍点]、それでは抵当《かた》の品をやる、それによって融通しろ」
「よろしうございます、相当の抵当を下さるのに、それでも融通をして上げないと、左様な頑固なことは申しません。そうしてその抵当とおっしゃいますのは」
「この品だ」
 神尾主膳は、青地錦の袋に入れた一振《ひとふり》の太刀を床の間から取り外しました。それは多分|伯耆《ほうき》の安綱の刀でありましょう。
 神尾主膳は秘蔵の刀を当座の抵当に与えて、それで、がんりき[#「が
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