ば、やくざの御家人上《ごけにんあが》りもあり、かなり裕福らしい町人風のものもあり、また全然|破落戸風《ごろつきふう》のものもある――それらの人が集まって、夜更くるまで本邸の奥で賭場《とば》を開いていることを、お松は浅ましいことだと思いました。神尾主膳に金廻りがよくなったというのは、それから来るテラ銭のようなものでしょう。
 中奥《なかおく》の間《ま》ではその夜、また悪い遊びが開かれていました。その場の様子では主膳の旗色が大へん悪いようです。
 主膳の悪いのに引替えて、いつもこの場を浚《さら》って行くは、がんりき[#「がんりき」に傍点]の百であります。
 一座の者が一本腕のがんりき[#「がんりき」に傍点]のために、或いは殺され、或いは斬られて、手を負わぬものは一人もない体《てい》たらくでありました。
 それを見ていた神尾主膳は、業《ごう》が煮えてたまりませんでした。
「百蔵、もう一丁融通してくれ、頼む」
と言い出すと、
「殿様、御冗談《ごじょうだん》おっしゃっちゃいけません、もうおあきらめなすった方がお得でございます」
「左様なことを言わずにもう一丁融通致せ、新手《あらて》を入れ替えて、
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