れ、他人でないわたしに」
「一から十まで癪《しゃく》に触ってたまらねえから、それでおんでるんだ」
「何がそんなに癪に触るの」
「なんでもかでもみんな癪に触るんだ、その紅《あか》っちゃけた着物はそりゃ何だ、その椎茸《しいたけ》みたような頭はそりゃ何だ、そんなものが第一、癪に触ってたまらねえや」
「お前はどうかしているね」
「俺らの方から見りゃあ、どうかしていると言う奴がどうかしてえらあ、ちゃんちゃらおかしいや」
「まあ、米友さん、それじゃ話ができないから、ともかく、まあここへお坐り。お前がどうしてもこのお屋敷を出なくてはならないようなわけがあるならば、わたしも無理に留めはしないから、そう短気を起さずに、そのわけを話して下さい、ね」
「出て行きたくなったから出て行くんだ、わけもなにもありゃしねえや、一から十まで癪に触ってたまらねえからここの家にいられねえんだ」
「何がそんなにお前の癪にさわるのだか、お前のように、そうぽんぽん言われては、ほんとに困ってしまう」
「その椎茸《しいたけ》みたような頭が気に入らねえんだ、尾上岩藤の出来損《できそこ》ねえみたようなのが癪に触ってたまらねえんだ」
「あ
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