の肩に手をかけました。
「どうしたっていいやい」
 米友が肩を揺《ゆす》ると、お君は少しばかり泳ぎました。
「お前、何か腹を立っているの」
 米友はなお返事をしないで、ようやく草鞋の紐を結んでしまい、ずっと立って傍に置いた例の棒を取って、ふいと出かけようとする有様が尋常でないから、お君はあわてて、
「何かお前、腹の立つことがあるの、気に触ったことがあるの。そうしてお前はここのお屋敷を出て行ってしまうつもりなの」
「うむ、今日限り俺らはここをお暇《いとま》だ」
「そりゃまた、どうしたわけなの。お前はどうも気が短いから、何かまた殿様の御機嫌を損《そこ》ねるようなことをしたんじゃないか。そんならわたしが謝罪《あやま》って上げるから事情《わけ》をお話し」
「馬鹿野郎、殿様とやらの御機嫌を損ねたから、それで出るんじゃねえや、俺らの好きで勝手におんでるんだ」
「そんなことを言ったってお前、そうお前のように我儘《わがまま》を言っては第一、わたしが困るじゃないか」
「お前が困ろうと困るめえと俺らの知ったことじゃねえ」
「何か、キットお前、気に触ったことがあるんだよ、あるならあるようにわたしに話しておく
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