たれど、この槍の先には眼がある」
刀の柄《つか》へ手をかけて立ち上った擬《まが》いの神尾主膳は、竜之助の槍の穂先で咽喉《のど》を押えられて動きが取れなくなってしまった。動けばブツリと咽喉へ入る、反身《そりみ》になって外《はず》そうとすれば、穂先はひたひたとつけ入る。赤くなり蒼くなって、とうとう床柱へピタリと押しつけられてしまいました。
「無礼者、無礼者」
床柱へ押しつけられて苦しみもがく擬いの神尾主膳。
あたりに見ていた者共も、この奇怪なる盲目の武士の振舞に怖れをなして手出しをすることができない、手出しをすれば擬いの神尾が殺《や》られる。山崎の名を騙《かた》って来たように、ワザと盲目の真似をして来た者、手剛《てごわ》い敵、手が出せぬ。それで、一同も眼を白黒としていると、蒼くなり赤くなっている擬いの神尾主膳、
「槍を引け! 槍を引いてくれ給え」
苦しい声。
「槍はいつでも進上致す、その代り引替えの品」
「引替えの品、承知」
「承知致したか、望月の若主人を戻すか、戻してこの槍と引替えに帰らっしゃるか」
「いかにも、槍と引替えに」
「よし、しからば誰か、望月の若主人をこれへ。遠慮は
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